人気ブログランキング | 話題のタグを見る

わいわい桐子

yykiriko.exblog.jp
ブログトップ

板橋区2016年度予算案に反対し予算修正を提案

3月24日、板橋区議会2016年第1回定例会の最終本会議で、2016年度板橋区予算案に対する反対討論を行いました。残念ながら、予算修正提案は、否決されました。

板橋区2016年度予算案に反対し予算修正を提案_c0120926_15351897.jpg


<日本共産党区議団が提案した予算修正一覧>
●公共施設のあり方についての区民検討協議会開催    56,148千円
●いこいの家のお風呂を2回から4回へ復活        6,861千円
●敬老入浴事業の対象年齢引下げと自己負担据え置き   83,469千円
●要介護3以上の居宅介護者への支援金制度      182,649千円
●75歳時の人間ドッグ無料化            113,859千円
●小中学校入学お祝い金事業              88,007千円
●就学援助の対象項目拡大(PTA会費・生徒会費・クラブ費)25,675千円
●産後1カ月児及び産婦健診助成            28,571千円
●中央図書館基本設計の凍結             △57,062千円


反対討論全文は、以下のとおりです。
「ただいまから、日本共産党板橋区議団を代表して、議案第1号「2016年度東京都板橋区一般会計予算」、議案第2号「同国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「同介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「同後期高齢者医療事業特別会計予算」に対しては反対し、議案第33号「2016年度一般会計予算に対する修正動議」に賛成する立場から討論を行います。
 
 史上最大の利益をあげる大企業の儲けが、国民に滴り落ちることはなく、賃上げは一部の企業に留まり、実質賃金4年連続減、個人消費が停滞しています。安倍首相が増えたとする雇用は、正規雇用23万人減に対し、非正規雇用172万人が増加したもので、むしろ不安定雇用が拡大しています。すでに「アベノミクス」が破たんしていることは明らかです。
 区民生活は厳しく、納税義務者のうち課税標準額200万円以下の世帯が半数を占めていることからも、区の言う「緩やかな景気回復」を実感するどころか、働いてもまともに暮らすことができない実態です。貧困は、こども、若者、女性へと広がり、年金額が減らされ続ける高齢者でも生活保護世帯が6年間で2,134世帯増加するなどあらゆる層へ影響しています。
これほど、格差と貧困が広がっているときに、消費税10%の再増税を行えば、区民生活は、崩壊してしまいます。区長は「消費税増税は避けられない」などという前に、増税による区民生活への影響を防ぐために、国に対して中止を求めるべきです。
 2016年度は、10年間の基本計画の初年度です。基本構想で謳う「区民の暮らしが充実し、豊かであることを共感できるまち」にするための第一歩となるかどうかが問われています。
しかし、過去最大規模の予算にもかかわらず、予算編成の視点は、住民サービスの量の抑制だけが眼目の「選択と集中」と行財政改革による「持続可能な収支均衡型財政構造」で、今年度末には、498億円にも上ろうという基金総額をさらに積み上げる姿勢です。
持続すべきは、区民生活です。区財政だけが持続しても、区民の不安をとりのぞき、希望を与えるものにはなりません。積極的な財政出動を行う方向へ転換すべきです。

 まず、第一に子どもと教育についてです。
 保育園の待機児対策は、非常事態という認識で取り組む必要があります。
 今年4月入所の申込者数は昨年より308人増加し、一次募集で認可保育園を希望して入所できなかった人数は、1634人です。一次選考後の欠員は、わずかしかなく、昨年を上回る待機児童の発生が予想されます。
 区では、計画を前倒しして取り組んでいますが、計画通りに進んでいません。認可園8園新設の計画が2園先送りとなり、小規模保育所12カ所新設の予定が半数にとどまっています。物件探しも事業者任せにして、事業者の参入をあてにするだけでは、保育難民を広げるばかりです。
 また、未就学児の母親の6割が就労している実態と区の計画量が見合ってないことも要因です。人口減を前提に保育需要を小さくしてきた姿勢をあらため、子ども子育て支援推進計画を見直し、民営化方針の撤回と区立園の新設にも踏み出すべきです。
 同時に、民間任せでなく、杉並区や大田区のように公有地を活用した保育など、区が直接踏み込んだ緊急保育の実施に踏み出すべきです。合わせて、保育士の処遇改善と人材確保に対し具体的な対策を実施すべきです。
 貧困対策に対する視点がまったく不十分です。
 日本の子どもの相対的貧困率は、16.3%で約6人に1人の子どもが貧困状態に置かれています。それは、国民の標準的な所得の半分以下で生活している人たちで、子どもたちは経済的なことを理由に、友人関係や学習環境など人間らしい生活を送ることができない状態に置かれています。子どもの貧困は、自己責任では解決しません。生まれ育った環境によって人生が左右されることのないように、行政が全責任を負うべき課題です。
 区の姿勢は、国の指示待ちで新年度予算では、新たな対策を先送りしています。ただちに、具体策を講じるべきです。
親の貧困が子どもの貧困に直結します。とりわけ、母子家庭は8割が就労しているにも関わらず、平均収入は181万円で、5割以上が貧困です。その根底には、雇用における女性差別の問題があります。
 しかし、女性差別解消や男女雇用機会均等法の視点を持つべき「男女平等推進計画」には、女性差別による貧困の実態すら描かれていません。基本計画や個別の推進計画などで、重点課題として、「貧困対策」を柱に据えるべきです。

 教育条件の整備が、現場の実態に追いついていません。
 教育現場は、子どもたちの中に複雑に広がる貧困化や学習面での格差の拡大など、困難に直面しています。教員は休憩も取れず長時間残業をつづけています。
国の少人数学級が遅々として進まないことは問題です。その下で、すべての小中学校から要求されている215人の学習指導講師に対し、区教委は183人の配置に留めています。国に対し、少人数学級の拡大を強く求めるとともに、少なくとも要望に応じた人員配置を行うべきです。加えて、学校統廃合計画は見直し、大規模校の問題を解消すべきです。
 また、高校大学への進学費用に対する負担感は最も高く、将来への希望を失いかねません。足立区では「担税能力のある若者に住み続けてもらう」ことを目的に、新年度から「償還免除型奨学金制度」を開始します。「若い世代の定住化戦略」というなら、こうした事業を実施すべきです。

 第二に、高齢者や障害者、医療についてです。
 高齢者の貧困対策は、負担軽減と居住支援の強化が必要です。
 高齢者のうち納税義務者数が5年間で約5%増え、年金収入は増えていないのに課税され、各種保険料も引き上がっています。年金だけでは生活できない実態が、高齢者けやき苑の応募倍率が33.7倍という高い水準が続いていることに現われています。区は、「高齢」を理由に住宅を借りることを拒否される実態を知りながら、相談や斡旋事業で十分だとしています。公営住宅を1戸も増やさない方針を撤回し、住宅基金などを活用して、公営住宅の新増設や民間賃貸住宅の家賃助成実施に踏み出すべきです。
 高齢者から憩いの場や生きがいを奪う、ふれあい館の有料化、いこいの家の入浴削減は中止すべきです。
 年間約40万人が利用するふれあい館の有料化による収入見込みは、約1200万円です。有料化によって利用者が半減することを見込んでいること自体が、高齢者福祉の向上と逆行するものです。いこいの家の入浴事業を週4回から2回へ削減することは、高齢者の負担増と居場所を奪うものです。サークル活動の制限は、生きがい活動の場を失うことになるなど、大きな影響をもたらします。高齢者の権利を一方的に奪う計画は撤回すべきです。

 医療難民、介護難民問題も深刻です。
 国民健康保険の資格証世帯の約半数が、保険料10万円未満の世帯で、低所得層の多くを占めています。年齢区分でみると19歳から49歳までで6割以上を占めており、パート、アルバイトなど、増える不安定雇用などを背景に保険料を支払うことが厳しくなる事態です。医療を必要としたときに窓口負担が10割になれば、到底医療は受けられません。滞納を取り立てろという指摘もありますが、そもそも収入の一割を超えるほど高い保険料額に問題があるのです。区としての軽減策が必要です。
 特別養護老人ホームの待機者は、非課税世帯ほど待機年数が長く、多床室がなかなかあかず、ユニットが空いても居室代が高いために、いつまでも待ち続けざるを得ない状況です。さらに利用料が倍の2割になった途端にショートステイの利用を減らすなど利用抑制の実態も増えています。
公的責任として多床室のある特養ホーム増設、保険料と利用料の軽減を行うべきです。

 新年度から施行となる「障害者差別解消法」や、国際条約である「障害者権利条約」の精神が生きる取り組みが求められています。
 例えば、区の雇用に身体障害者以外の障害者が対象となっていないこと、福祉園は定員以上のつめこみ状況、障害者の福祉サービスが65歳になった途端「介護保険サービス」が優先となり、負担が増えて、従来の支援が受けられないことやあいキッズで保護者等のつきそいがないと利用できないことなど、改善が迫られています。具体的な差別、課題を明確にして、改善のための計画をつくるべきです。

 第三に、産業振興についてです。
 消費税8%増税後は、町工場や商店から「自分の代限りで廃業」の声が広がるように、商店数も事業所数も減少し続けています。区が行った製造業全件調査では、今後の事業意向は「現状維持」が最も多く、課題について「売上数・顧客数減少」に次いで「設備の老朽化」が上げられています。区の計画では、商店街だけではなく、商店への支援の必要性を認めながら、事業は、講演や講座を行うというもので、事業者の希望に応えるものではありません。機材の更新や固定費への支援、店舗改修への助成などを実施すべきです。

 第四に、防災とまちづくりです。
 防災のためのまちづくりが、道路事業や再開発とセットでなければ進まないという考えは、見直すべきです。大山のまちづくりでは、補助第26号線が延焼遮断帯としての機能の保障はなく、道路ありきで進められています。再開発とセットで不燃化特区として位置づけられても、住宅の建替えに対する微々たる助成のみで、燃やさないために有効な感震ブレーカーの助成は「斡旋」に留まっています。災害対策基金などを活用して感震ブレーカー設置助成を行うべきです。上板橋駅南口の再開発も「再開発しなければ防災対策ができない」という考えだけに縛られることなく、地域住民といっしょにつくるまちづくりの姿勢が必要です。住民合意にこそ区の力を注ぐべきです。

 第五に、公共施設整備計画は住民とともに再構築すべきということです。
 質疑で明らかになった通り、個別整備計画は、策定前も、策定後も住民が参画する場はありませんでした。
 廃止される集会所、児童館の利用者は戸惑いと憤りの声を上げています。中には、今後の利用が決まっていないにも関わらず廃止だけが先行している場所や、なくなってしまえば、その地域から集会施設や児童館の機能そのものがなくなってしまう問題には、議会からも疑問の声があがっています。
 中央図書館の移転問題は、図書館の必要数や立地場所などの検討に住民合意を図る姿勢がないことに不満の声があがっています。
住民の意見も聞かず、トップダウンで、施設の必要量とはかけ離れた「総量2割抑制」を前提とした考えでは住民自治とは向き合えません。
 いま一度、公共施設の整備計画を住民とともに検討すべきです。私たち区議団は、そのための協議会設置も予算議会に提案しました。新年度からの施設廃止は凍結し、改めて区民とともに考えることを積極的に提案するものです。
 板橋福祉事務所の移転先は、二転三転し、集会施設であるグリーンホールに移転される結果となりました。生活保護世帯やひとり親家庭などへの援護という福祉事務所の役割を人が集まる集会施設に収めるべきではありません。グリーンホールの利用も男女平等推進センターの拠点機能も後退させるものです。板橋福祉事務所は、一日も早く本移転を計画すべきです。

 第六に、区自身の人材育成とその役割の発揮についてです。
新年度予算には、しらさぎ保育園の民営化、徴収嘱託員の委託拡大、保育園と学校の調理や用務の委託化が盛り込まれています。
 民営化や委託化は、公務労働を非正規雇用に置き換え、区自ら官製ワーキングプアを拡大させるものです。そこでは、施設長さえも1年契約の雇用で、事業の継続性への保障もなく、結果として住民サービスの低下を招きかねません。
 また、削減を続けてきた区職員の長時間労働や超過勤務による疲労感は、区の人材育成計画が謳う「意識改革」で解消できるものではありません。現場が求める増員要求にも応えず、技術職の育成とは程遠い状況です。定数増に踏み出すべきです。
 制度導入から10年を経た指定管理者制度のあり方には、「本社経費」や「利益率」など不透明であることや、低賃金労働の実態把握に課題が浮き彫りになっています。制度のあり方を見直し、これ以上の民間開放と定数削減方針は撤回すべきです。

 次に3特別会計についてです。
 まず、国民健康保険事業特別会計です。
 新年度の23区一人当たり平均保険料は、介護納付金も合わせると14万676円で4754円の引き上げです。
 本来なら、国から被保険者の負担軽減、保険料増大の抑制などを目的として各自治体に補助金をあて、保険料の引き上げを抑えるべきです。
 また、収入確保を目的として出されている東京都の調整交付金を「差し押さえ」によって交付される額として1000万円予算計上しています。保険料を払うことができないことに対して、資格証発行、差し押さえなど、保険料取り立ての手法として行うことは、医療を受ける権利を奪うもので、やめるべきです。

 介護保険事業特別会計は、4月から始まる新総合事業の予算が盛り込まれています。板橋区の独自緩和型は国基準に照らして訪問で14%、通所で44%も介護報酬額が低くなり、時間も回数も制限されています。
 しかし、こうした内容について、区内事業所とともに検討したものでもなく、開始直前にもかかわらず、手を上げた事業所からは不安の声が上がっています。
 今後、要介護1,2にまで各自治体の地域支援事業に移行させる方向性が示されています。そのことが介護の水準低下、家族介護、老老介護をより深刻な状況に追い込むことがあってはなりません。改めて公的責任の下、高齢者福祉施策として必要な介護を保障すべきです。

 後期高齢者医療事業特別会計は、新年度からまた保険料の改定となり、板橋区では約5割強の人の保険料が負担増となります。平均保険料額が減っているのは、それだけ低所得者が増えていることを表しています。国の減額措置が廃止されたら、「医療難民」が大幅に増加することが想定されます。改めて国に対し、減額措置を恒久法とするよう強く求めるべきです。そして、区は短期証発行、差し押さえ実施方針を撤回し、高齢者の医療を受ける権利を守る姿勢に立つことを強く求めます。

 最後に、私たち日本共産党は、区長予算案に対する修正動議を議員提案させていただきました。
修正案は、公共施設の区民検討協議会設置をはじめ、いこいの家の入浴事業縮小の中止、敬老入浴事業の対象年齢の引き下げと自己負担据え置き、介護の負担軽減として要介護3以上の低所得者への居宅介護支援、75歳時の人間ドッグ費用助成、教育費の負担軽減として小中学校入学お祝い支給事業と就学援助の対象項目拡大、住民合意を図るための中央図書館の基本設計の凍結と区民との検討協議会設置です。
 修正動議の予算は歳入歳出ともに5億2851万6千円増額するもので、これは区長提案の一般会計予算のわずか0.26%の修正です。財源は財政調整基金を活用するもので、区民の暮らしを支えるわずかな支援です。
みなさんの賛同をお願いし、日本共産党の討論を終わります。」
by YYkiriko | 2016-04-07 15:48

いわい桐子のわいわい通信


by YYkiriko