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わいわい桐子

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板橋区の2017年度最終補正予算に反対しました

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本日(3月2日)、2017年度最終補正予算に対する表決が行われ、反対しました。
日本共産党区議団を代表して討論を行いました。
討論全文は、以下の通りです。

ただいまから、日本共産党板橋区議団を代表して議案第5号2017年度板橋区一般会計補正予算、及び議案第6号同国民健康保険事業特別会計補正予算、議案第7号同介護保険事業特別会計、議案第8号同後期高齢者医療事業特別会計補正予算に反対する立場で討論を行います。

 

 本補正は、2017年度の最終補正予算です。

区は、当初から「雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環」と言ってきました。しかし、一人あたりの所得が増えていると言っても、課税標準額を見ると増加した7,641人の納税義務者のうち、6割が200万円以下で低所得層です。雇用の増は、非正規雇用が拡大しているというのが実態です。

区民の暮らしは、実質賃金は下がりつづけ、物価高の中で厳しさを増しています。今回の補正予算は、係数整理にとどめず、広がり続ける格差への対応や、区民の暮らしを支える手立てを講じたかどうかが問われています。

反対する第一の理由は、厳しい区民の暮らしの実態に寄り添っていないことです。

まず、貧困対策はまったく不十分です。

区のひとり親家庭実態調査では「子どもの就学にかかる費用の軽減」が必要な施策のトップになっています。それは、区の意識意向調査でも同様に「経済的支援」が求められています。就学援助の前倒し支給など、経済的支援に踏み出すべきです。

若者と高齢者の貧困対策で最も求められているのが住宅への支援です。住宅マスタープラン策定のためのアンケートでは、20代の60.2%が「住まいの確保や家賃負担軽減への支援」を求めています。70代以上の38.6%が「公営住宅の整備」を求めています。住まいの保障は、生活基盤の崩壊を防ぐことです。。家賃負担を軽減することは待ったなしの課題です。しかし、区は検討すら行っていません。

貧困の広がりに対して対策が間に合っていないのは「現金給付をしない」とする区の方針です。この考えを撤回し、貧困対策に正面から取り組むべきです。

保育園待機児対策は、小規模保育所を6ヵ所整備するとした予算が、半分の3か所しか整備できていません。「マッチングできなかったこと」を理由にしていますが、9月時点で見通しが立っていなかったことから考えれば、区が、場所を確保するなどの新たな対応を行うべきでした。

各学校から寄せられる学校要望予算は、小・中合わせて約3千万円残しています。そのことは10月時点で判明しています。一部前倒ししていると聞きますが、工事や対応件数を追加し、一つでも多くの要望に応えることができたはずです。

板橋第9小学校が廃止されますが、あいキッズとしての引継ぎ方針も交流事業の予算もなく、事業者任せとなっています。25人もの子どもが転校する板橋第8小学校のあいキッズは、交流対象にもなっていません。早急に改善し対応すべきです。

あいキッズの男女共用トイレが未だに17カ所も残されている問題は、成長・発達時期を学童保育で過ごす子どもたちへの人権問題です。直ちに整備が必要です。少なくともパーテーション設置などは、緊急対応ができるはずです。

学校要望もあいキッズも、年度初日の依命通達で、「契約差金や事務事業の見直しで発生した不用額については、原則として他の事業に転用しない事」と徹底してきたからです。執行残が、早い段階で確定するにも関わらず、6月補正や9月補正で減額せず、最終補正まで温存し、最後に基金に積み上げるという結果を生んでいます。それは、区民に約束した単年度の予算執行を実施しないことを前提にするものであり、重大な問題です。

また、前年実績を精査しないまま計上しているため、児童館の水光熱費は、廃止前のまま予算化し、最終補正で減額しています。事業がないにもかかわらず予算計上したことは、単純ミスではすみません。

耐震調査助成は、実績が低いにもかかわらず、前年同様に予算化したため、当初予算に対し、94%も減額しています。余ったお金は基金に積み上げる。これでは、余らせることを前提とした予算編成と言わざるを得ません。

財政運営のあり方を抜本的に見直すべきです。

医療と介護が命と尊厳を守るものになっていません。

国民健康保険事業は、前年度歳計剰余金が約24億円です。こんなに剰余金が発生するなら、保険料を上げる必要はなく、むしろ引き下げることだってできたはずです。

高すぎる保険料を払えない区民への差押えは、1月末時点で546件に上っています。昨年の318件を大きく超えています。都の交付金が昨年の2倍になる事を喜んでいる場合ではありません。むしろ、払えない人の生活状況をよく聞き取る相談対応を強化することこそ必要です。そして、払うことのできる保険料へ引き下げるべきです。

後期高齢者医療保険は、国の所得割激変緩和策の縮小により、1,525人が8,500円の負担増となっています。75歳以上の高齢者の年金暮らしを考えれば、国が削減した分を区独自でカバーすべきです。

介護保険事業は、第6期計画の最終年度です。介護給付費準備基金に約9億円も積み増しし、基金総額は17億8,900万円です。計画当初は、基金は2億円残して残りの10億円を保険料抑制にあてるとしてきたのに、保険料を上げ、さらに積み増しした結果です。介護保険は、社会保険料の中でも最も負担率が高く、生活を圧迫しています。にもかかわらず、介護保険始まって以来、初めて「差押え」を実行しました。憲法に反する年金の差押えは、行うべきではありません。

産業融資利子補給は、約3100万円の減額補正で、昨年度の8割程度の実績に留まっています。そもそも、昨年度でも、利子補給108件、融資実績1268件で153億8千万円です。板橋区と同様に中小工業の自治体である大田区では、昨年度の利子補給は819件、融資実績は3,005件、261億8千万円で、利子補給でみても、板橋区の8倍以上です。また、大田区は、運転資金融資の支援が随時行われています。板橋区の製造業実態調査において、もっとも要望の大きい項目は「運転資金融資の充実」です。この声に積極的に応える融資制度に改善する必要があります。

反対する第二の理由は、住民不在の区政運営です。

保育料の値上げの際、利用者への説明も、意見聴取もなく、保育料値上げを決定しました。それは、高島平緑地の木の伐採でも同様です。説明不足のまま緑地の木が大量に伐採されたことに、住民から驚きと改善を求める声が多く上がりました。新たに看板を設置して対応したものの、説明は十分とは言えません。

公共施設整備計画も住民の意見を聞かずに推し進めた結果が、「集会所を残してほしい」と提出された多くの陳情に現われています。しかも、「保育に活用する」として児童館から子どもを追い出しておいて、8館が隣接する保育園の保護者会や雨の日の活用、倉庫としての暫定利用となっています。

「施設整備の費用対効果を検討した結果、待機児対策に活用するのは難しい」とする区の答弁は、結局、施設の役割や必要性ではなく、「総量抑制」による廃止ありきの計画だったと言わざるをえません。ただちに計画の見直しが必要です。

JR板橋駅B用地の活用にあたっては、2月に行った住民説明会でも区の計画に対し「住民にメリットはない」「保育園や出張所を」と求める住民の声を聞く姿勢はありません。紛糾した住民説明会の翌日、区の負担がどうなるかも未定のまま、JR東日本と協定を結びました。そもそもB用地は、区民の税金を36億円もかけて20数年も塩漬けにしてきた土地です。一体開発の理由にしてきた駅のエレベーターは、開発抜きで実施されました。あとは、住民と一緒に活用計画をつくればいいのです。今からでも遅くはありません、一旦立ち止まり、計画を凍結すべきです。

反対する第三の理由は、悪化する働き方の是正に取り組んでいないことです。

区職員団体のアンケートでは、約3割の保育士が仕事が終わらず持ち帰っています。しかも超過勤務は、「申請しにくい」という理由で54%が申請すらできない状況を放置してきたことは重大です。55%が仕事が時間内に終わらない理由を「人員不足」と回答しています。

区は超過勤務360時間を超える職員が100人近くいても、人件費比率ばかりを重要視し、定数を増員してきませんでした。そして、コストの削減が前提で、仕事の負担を減らす策は、委託に頼るだけです。委託化で本当に仕事量が削減できたのでしょうか。

中学校で6割、小学校で3割の教員が過労死ラインの残業を強いられている実態は、区の調査でも同様です。

公務労働の下で働く職員は、どの現場も疲弊しています。区として実態を把握し、ただちに改善すべきです。同時に、委託や指定管理者制度が拡大される下で、非正規・低賃金で働く労働者も公務労働に他なりません。実態把握と労働環境改善を、区として、責任を持つべきです。

 

最後に、基金積み立て最優先の財政運営です。

 今年度末の基金残高は、585億円です。財政調整基金は、約20億円積み増しし、ついに総額200億円を超えます。本来、計画に合わせ、必要額を示した上で、基金額を決めるべき目的基金である、公共施設整備基金に約19億円、義務教育施設整備基金に約29億円を積み増しししています。

区は、必要な額の算出について、「次の実施計画で3ヵ年の財政計画、それから、残り7年の財政計画で、事業量を見ながら算出する」と答弁しています。最終補正で積んだ額の根拠は、これから算出するというのでは、積み上げる基金に対する説明にはなっていません。積み立てありきの姿勢だと言わざるをえません。

また、補正予算の基本方針から、「緊急かつ必要性の高い施策に要する経費」の考え方を削除しています。区財政課長は、「各所管に確認をしている」と言いますが、年度初日の依命通達で「経費圧縮の可能性を最大限追求した上で執行する事」を全庁に徹底しています。これは、議会で決定した予算の執行率を引き下げることを常態化させるものです。にもかかわらず、補正予算の方針さえも「緊急的な対応」に背を向ければ、各所管から緊急対応の要求が上がるはずもありません。そして、残したお金は基金に積み上げるのです。

基金積み立てを優先する姿勢を転換し、区民の税金は、住民福祉向上のために活用することを強く求めて、私の討論を終わります。」




by YYkiriko | 2018-03-02 15:41

いわい桐子のわいわい通信


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